再建築不可物件を売却することにした理由【手残りで考える不動産投資の出口戦略】

前回の記事で「不動産投資法人を作った理由と後悔」を書きました。今回はその続き——保有物件のうち1棟を売却することにした理由を、実際の数字をもとに解説します。

「売るか、持ち続けるか」は不動産投資家なら必ず直面する判断です。私が出した答えと、そこに至るまでの計算プロセスを公開します。


物件の概要

項目 内容
所在地 東京都八王子市(戸建て)
月額家賃収入 9万円
ローン残債 約500万円台
売出価格(想定) 約1,000万円

一見すると「家賃9万円も入ってるなら持ち続ければいいのでは?」と思われるかもしれません。私も最初はそう思っていました。


売却を決めた本当の理由:再建築不可物件だった

CFや手残りの計算をする前に、まずこの物件の本質的な問題があります。それが「再建築不可」であることです。

再建築不可とは、現在の建物を取り壊した後に、同じ土地に新たな建物を建てられない物件のことです。接道要件(建築基準法上の道路に2m以上接していない等)を満たしていないケースが多く、この物件もそれに該当します。

再建築不可が投資判断に与える影響は大きく、主に以下の2点です:

  • 銀行の担保評価がつかない:多くの金融機関は再建築不可物件を担保として認めません。つまり、この物件を持っていても次の融資の担保に使えず、ポートフォリオの「足かせ」になります
  • 将来の売却が難しくなる:築年数が進むほど建物の価値はゼロに近づき、土地だけの価値で評価されます。再建築もできないとなれば、買い手は限られ、売却しにくくなる一方です

「今は家賃が入っているからいい」ではなく、「この物件を持ち続けることで、次の投資機会を失い続けている」という視点に切り替えたことが、売却決断のきっかけでした。


「CF(キャッシュフロー)で考える」と見えてくるもの

不動産投資の判断でよく使われる指標に「CF(キャッシュフロー)」があります。家賃収入からローン返済・経費を引いた「実際に手元に残るお金」です。

この物件の月次CF試算

項目 金額
家賃収入 +90,000円
ローン返済 -約34,000円
管理費・固定資産税(月割) -約10,000円
修繕積立(戸建ては自己積立) -約10,000円
月次CF(手残り) 約+36,000円

月3.6万円のプラスなので、「悪くない」と感じるかもしれません。では次に「売却した場合の手残り」と比べてみます。


売却した場合の手残り試算

ここでいう「手残り」とは、売却代金からローン残債・諸費用を差し引いた後に実際に手元に残る金額です。売却益(購入価格との差額)とは異なります。

項目 金額
売出価格(想定) 約1,000万円
ローン残債返済 -約500万円台
仲介手数料(約3%+6万円) -約36万円
その他諸費用(登記費用等) -約10万円
手残り(概算) 約400万円台

売却すれば400万円台が手元に入ります。


CF継続 vs 今すぐ売却:どちらが合理的か?

月3.6万円のCFが続く場合、売却手残り(約400万円台)を回収するには:

400万円台 ÷ 3.6万円/月 ≒ 約10年以上

10年以上、空室なし・修繕なし・金利上昇なし・家賃下落なしという条件が揃って初めて、持ち続けることの方が得になります。

現実には:

  • 戸建ては退去のたびにリフォーム費用がかかる(10〜30万円)
  • 築古になるにつれて家賃は下落しやすい
  • 変動金利のため、金利上昇でCFが圧縮されるリスクがある
  • 再建築不可のため、年数が経つほど売却しにくくなる

「今売れば400万円台が確定」vs「持ち続ければ10年以上かけて回収(リスクあり)」——この比較をしたとき、売却という判断が合理的だと結論しました。


もう一つの理由:資金を次の投資に回せる

売却で得た手残りがあれば、より条件の良い物件への頭金にできます。再建築不可物件を担保に使えず塩漬けにするより、売却資金を元手に担保評価のとれる物件に組み替える方が、資産の成長スピードが上がります。これを「ポートフォリオの入れ替え(リバランス)」と呼びます。


売却を決める前に確認した3つのこと

  1. 本当にその価格で売れるか——再建築不可は買い手が限られるため、査定は複数社で取る。ネット査定は参考程度に
  2. 税金はどうなるか——法人所有の場合、売却による収入は法人税の対象。累積赤字があれば相殺できる可能性あり
  3. 入居者への影響——売却後も入居者を引き継ぐ「オーナーチェンジ」か、退去後売却かで手取りが変わる

まとめ

  • 再建築不可物件は銀行担保評価がつかず、次の融資の足かせになる
  • 月CF3.6万円でも、売却手残りの回収に10年以上かかる
  • リスク(空室・修繕・金利上昇・価値下落)を考えると「今売る」方が合理的
  • 売却資金を担保評価のとれる物件に組み替えることで資産効率が上がる

不動産投資は「買うとき」だけでなく、「売るとき」の判断力が資産の伸びを大きく左右します。CFだけを見て持ち続けるのではなく、定期的に「今売ったらいくら手元に残るか」を計算する習慣をつけることをおすすめします。

前回の記事:サラリーマンが不動産投資法人を作った理由と後悔【実体験】

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