サラリーマンが不動産投資法人を作った理由と後悔【実体験】

「法人を作れば節税できる」——そう聞いて不動産投資法人を設立したのが数年前のことです。

結論から言うと、節税できていません。むしろ毎年赤字です。

それでも法人を継続しているのには理由があります。今回はサラリーマンとして働きながら不動産投資法人を作った経緯と、実際にやってみてわかった「思っていたのと違う」ポイントを正直に書きます。


なぜ法人を作ったのか

1. 「個人より法人のほうが有利」という情報に踊らされた

不動産投資の勉強を始めたころ、あらゆる書籍やYouTubeで「年収が一定以上なら法人化すべき」という情報を目にしました。理由は主にこの3つです:

  • 法人税率は最大23.2%、個人の所得税は最大55%→法人のほうが税率が低い
  • 経費の範囲が広い(車・交際費・役員報酬など)
  • 相続対策・資産管理に有利
  • 役員社宅制度:法人が物件を借り上げて役員に貸す形にすることで、家賃の大部分を経費にできる

特に「役員社宅制度」は見落とされがちですが、効果が大きい仕組みです。法人が賃貸物件を借り上げ、役員(=自分)に一部負担で貸す形にすると、家賃の50〜90%程度を法人の経費にできます。自分が毎月払っている家賃が実質的に節税になるイメージです。ただし計算方法が国税庁の通達で決まっており、負担額が低すぎると給与課税されるので、税理士への確認が必須です。

「これは作るしかない」と思い、クラウド会計サービスの無料電子定款作成機能を使って自分で株式会社を設立しました。費用は登録免許税15万円+公証役場での定款認証費約5万円で、合計約20万円ほどでした。電子定款にすることで紙の印紙代4万円が不要になるため、司法書士に依頼するより大幅に安く済みます。

2. 融資の出口を増やしたかった

個人での融資は住宅ローンと合算されて審査が厳しくなります。法人口座で物件を持てば、理論上は個人と切り離して融資を引けます。実際、最初の物件は法人名義で購入できました。


実際にやってみてわかった「誤算」3つ

誤算①:法人は赤字でも税金がかかる

「赤字なら税金ゼロ」は個人事業主の話です。法人には「法人住民税の均等割」があり、赤字でも年間7万円程度は必ず払います。

さらに決算申告を税理士に依頼すると年間20〜30万円のコストがかかります。物件1棟の純利益が月1〜2万円しかない時期は、税理士費用だけで赤字になりました。

誤算②:「節税」は黒字になって初めて効く

購入初年度は減価償却費が大きく出るため、たいていの物件は会計上赤字になります。つまり法人税の節税効果が出るのは、減価償却が一巡してから。節税を期待して法人を作ったのに、しばらくは節税どころか赤字を垂れ流す構造になっていました。

しかも累積赤字があると、金融機関からの評価が下がります。「法人の決算書が赤字だから融資が通りにくい」という状況になり、2棟目以降の拡大スピードが想定より遅くなりました。

誤算③:役員報酬を出すと個人の税金が増える

法人から自分に役員報酬を出すと経費にできますが、個人側では給与所得として課税されます。サラリーマンとしての収入がすでに高い場合、法人からの役員報酬がそこに上乗せされて実質的な税率は下がらないどころか上がることもあります。


それでも法人を続ける理由

では「失敗だった」のかというと、そうとも言い切れません。

理由①:資産の分離ができている

法人で持っている物件は、個人の財産とは切り離されています。万が一個人側で何かあっても(転職・離婚・事故など)、法人資産には影響が及びにくい。これはリスクヘッジとして機能しています。

理由②:長期で見れば黒字転換できる

現在保有している物件のうち1棟は、残債が減ってきたことで実キャッシュフローがプラスに転じています。あと数年で法人全体も黒字化できる見通しが立ってきました。

理由③:学習コストとして割り切った

正直なところ、「この経験がなければ不動産投資の実態を深く理解できなかった」と思います。書籍やセミナーでは教えてくれない「赤字法人の現実」を知ることができたのは、長い目で見ると財産です。


法人設立を検討している人へ:3つのチェックポイント

チェック項目 法人化すべき状況 まだ早い状況
現在の課税所得 900万円超(税率43%以上) 900万円以下
物件の純利益 年間50万円以上(税理士費用を賄える) 年間50万円未満
今後の拡大意欲 5棟以上に拡大する計画がある 1〜2棟で様子見したい

私の場合、設立タイミングは少し早かったかもしれません。ただ「早めに経験して学んだ」と今は思っています。


2026年に注意すべき追加リスク

法人設立を検討するなら、2026年現在の環境変化も把握しておく必要があります。

①金利上昇で法人CFが圧迫される

日銀の政策転換により、変動金利の上昇が続いています。法人ローンは個人より金利が高い場合が多く、金利1%の上昇でキャッシュフローが数万円単位で悪化します。法人化の判断には、金利上昇シナリオでのシミュレーションが必須です。

②融資審査で法人決算書の重みが増した

以前はサラリーマンの属性(年収・勤務先)で融資が通りやすかった時期もありましたが、最近は法人の決算書の内容が厳しく見られるようになっています。累積赤字があると、次の物件購入時に法人名義での融資が通りにくくなります。これは実際に経験しました。


まとめ

不動産投資法人を作った理由と、実際の誤算をまとめます:

  • 設立の動機:節税・融資の多様化・資産分離
  • 誤算①:赤字でも均等割+税理士費用がかかる
  • 誤算②:節税は黒字になって初めて効く。累積赤字が融資に影響
  • 誤算③:役員報酬+給与で個人税率が上がることもある
  • それでも続ける理由:資産分離・黒字転換の見通し・学習コスト

「法人を作れば節税できる」は半分本当、半分誤解です。税理士に相談した上で、自分のフェーズに合った判断をすることをおすすめします。

次回は、再建築不可物件を売却することにした理由【手残りで考える不動産投資の出口戦略】を書く予定です。

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