AIで物件をスクリーニングする方法【Pythonコード付き】
「物件を1件ずつ手計算するのが辛い」を解決したAIスクリーニング
不動産投資で物件を探していると、毎日のように新着情報が届きます。しかし、1件ずつ利回りを計算して、立地を確認して、積算価格と比較して……という作業を続けていると、本業と掛け持ちしているサラリーマン投資家には正直キツいです。
そこで筆者が実際に導入したのが、Gemini API(Googleの生成AI)を使った物件スクリーニングの自動化です。今回はその仕組みとプロンプト例を公開します。非エンジニアの方でも、コピペで試せる内容にしました。
AIスクリーニングで何をしているのか
AIに物件情報をテキストで渡すと、以下の観点で評価・コメントを返してくれます。
- 表面利回り・実質利回りの概算
- 積算価格との乖離(割高・割安の判断)
- 立地・築年数・構造からみたリスク評価
- 一次スクリーニング合否(詳しく調べる価値があるか)
積算価格の考え方については、積算価格・利回りの計算方法を解説した記事でも詳しく触れているので、あわせて読んでみてください。
AIは「必ず買い」「必ず売り」の判断をするわけではなく、あくまで「詳しく調べる価値があるかどうか」を素早く振り分けるのが役割です。人間の判断を置き換えるのではなく、省力化するツールとして使っています。
実際のPythonコード(シンプル版)
以下が基本的な実装です。Google Colabなどで動かすことができます。
import google.generativeai as genai
genai.configure(api_key="あなたのAPIキー")
model = genai.GenerativeModel("gemini-2.5-flash")
def screen_property(property_info: str) -> str:
prompt = f"""
あなたは不動産投資の専門家です。
以下の物件情報を評価し、一次スクリーニング結果を返してください。
【評価観点】
1. 表面利回り(年間家賃収入÷物件価格×100)
2. 積算価格との乖離(土地公示価格×面積 + 建物再調達価格×残耐用年数÷法定耐用年数)
3. 立地・築年数・構造リスク
4. 総合判断(詳しく調べる価値:あり/なし/要確認)
【物件情報】
{property_info}
必ず日本語で回答してください。
"""
response = model.generate_content(prompt)
return response.text
# 使用例
info = """
所在地:神奈川県相模原市
価格:2,800万円
築年数:昭和56年(築43年)
構造:木造2階建て
戸数:4戸
家賃収入:月14万円(現況)
土地面積:180㎡
路線価:12万円/㎡
"""
result = screen_property(info)
print(result)
実際のプロンプト出力例
上記の物件情報を渡したとき、AIはこのようなコメントを返します(実際の出力を一部編集)。
表面利回り:168万円 ÷ 2,800万円 × 100 = 約6.0%
積算価格の概算:土地(180㎡ × 12万円)= 2,160万円。木造の法定耐用年数22年を超過しており、建物の積算価値はほぼゼロと評価される可能性が高い。積算合計は土地のみで約2,160万円。物件価格との乖離は約640万円。
リスク評価:旧耐震基準(昭和56年以前)に該当するため、耐震性の確認が必要。築43年の木造は修繕費用がかさむ可能性あり。ただし相模原エリアは賃貸需要が比較的安定している。
総合判断:要確認。利回りは及第点だが積算割高感あり。耐震診断の有無・修繕履歴・現況入居者との契約条件を確認の上、再評価を推奨。
このような出力が数秒で得られます。手計算では15〜20分かかる内容が、一瞬で完了します。
非エンジニアでも使える方法
「Pythonなんて触ったことない」という方でも、以下の方法で試せます。
- Google Colabを開く(無料・ブラウザだけで動く)
- 上記コードをコピーして貼り付ける
- Gemini APIキーを取得する(Google AI Studioで無料発行可能)
- 物件情報をテキストで書き換えて実行するだけ
APIキーの取得方法は「Google AI Studio 登録方法」で検索すると多くの解説記事が出てくるので、ここでは割愛します。基本的には無料枠の範囲内で十分使えるので、最初は費用ゼロで始められます。
Pythonなしでできる!AIチャット直接入力プロンプトテンプレート
「Pythonのコードは難しそう……」という方でも大丈夫です。ChatGPTやGeminiのチャット画面に直接コピペするだけで、同じようなスクリーニングができます。コードを書く必要はまったくありません。
基本スクリーニング用プロンプト(コピペOK)
以下をそのままコピーして、ChatGPT・Gemini・Claude などのチャット画面に貼り付け、【物件情報】の部分だけ実際の物件データに書き換えてください。
以下の物件情報を評価してください。積算価格・立地・利回りの観点でA/B/Cの3段階で評価し、懸念点を箇条書きにしてください。
【評価基準】
A:詳しく調べる価値あり。数字・立地ともに良好
B:要確認。懸念点はあるが投資対象になりうる
C:見送り推奨。リスクが大きい、または割高【物件情報】
所在地:
価格:
築年数:
構造:
戸数・間取り:
現況家賃収入(月):
土地面積:
路線価(わかれば):評価後、「次に確認すべきこと」を3点挙げてください。
より詳しい分析が欲しいときの追加プロンプト
基本スクリーニングの結果を受け取ったあと、さらに深掘りしたい場合は以下を続けて入力します。
上記の物件について、以下の点も追加で評価してください。
1. 木造築古物件として、融資が出やすいかどうか(担保評価の観点)
2. 10年後の売却を想定した場合の出口シナリオ(売却価格の目安・リスク)
3. 同エリアで競合しやすい物件のタイプと、差別化できるポイント
AIチャットで使う際のコツ
- 路線価・公示価格は国土交通省のサイトで事前に調べる:AIは最新の路線価データを持っていない場合があるため、数値は自分で入力する
- 「なぜそう判断したか」を必ず聞く:「その根拠を教えてください」と追加質問すると、判断の透明性が上がる
- 複数の物件を比較させる:「物件AとBを比較してください」という使い方も効果的
- AIの回答はあくまで参考情報:最新の賃料相場・修繕状況・実際の需要はAIでは把握できないため、現地確認と組み合わせること
このようにAIチャットを活用すれば、不動産投資のあらゆる場面でAIを活用する方法で紹介している通り、コードを1行も書かずに物件分析の効率を大幅に上げることができます。
AIスクリーニングの限界と使い方の注意点
AIはあくまでテキスト情報をもとに評価するため、以下は判断できません。
- 物件の実際の状態(外観・内装・設備の劣化具合)
- 近隣環境のリアルな印象
- 売主・管理会社の信頼性
現地確認・インスペクション・管理会社ヒアリングは、AIが「詳しく調べる価値あり」と判断した物件に対してのみ行うことで、時間を大幅に節約できるというのが、このスクリーニングの本来の使い方です。
また、筆者が法人設立に踏み切った背景には「個人では限界がある」という判断がありました。スクリーニングの自動化も含め、仕組みを整えることで投資効率を上げる考え方については、法人設立の理由を解説した記事もあわせてご覧ください。
まとめ
- Gemini APIを使えば、物件の一次スクリーニングを数秒で完了できる
- 利回り・積算乖離・リスク評価を自動で出力し、「調べる価値があるか」を素早く判断できる
- Google Colabを使えば非エンジニアでも無料で試せる
- AIはあくまで省力化ツール。最終判断・現地確認は必ず人間が行う
物件を見る目は経験で磨かれますが、その経験を積む機会を増やすためにもAIの活用は有効です。ぜひ一度試してみてください。
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